アン・タイラー Anne Tyler
1941・10・25〜
 
 
 

アン・タイラーという作家をご存知でしょうか?
ウイリアム・ハートとキャスリン・ターナー、ジーナ・デイビスの「偶然の旅行者」の原作者といったらわかりやすいかも。
アメリカ本国ではピュリッツア賞受賞の、人気実力ともに定評のある作家。映画化された作品も多数。
しかし映画化された作品がいまひとつなこともけっこうあったり(というかそっちのほうが多いかも?)。
「偶然の旅行者」がヒットしたしそれでジーナ・デイビスがアカデミー助演女優賞とったじゃん、なんですが・・・それ以外が。しくしく。
日本語訳されている作品は次のようなものがあるのですが・・・。(色がついているのが映画化された作品)
夢見た旅 逃避願望の主婦が銀行強盗の人質となり思いがけない旅に出る
もしかして聖人 兄の死の原因は自分にあるかもしれないと思い込んだ17歳の青年の20何年間に渡るちぐはぐな人生
スリッピングダウンライフ ずんぐりむっくりで冴えない少女がロックスターに恋をした。ロックスターも彼女に関心を持ち
時計を巻きにきた少女 ある日ふらっとお手伝いさんとしてやってきた少女とその家の家族たちの物語
モーガンさんの街角 生活も安定して妻と7人の子供にも恵まれているのに身の置き所がないと思い込んでいる男の妙な恋
歳月の梯子 家族旅行で出かけた海岸で、ふらりと姿を消して新しい町で生活する3人の子持ち主婦の話
ブリージングレッスン 周りの人の幸せを願うあまり余計なおせっかいをしてしまう主婦マギーが夫と友人の葬儀に出かけたその一日の出来事
ここがホームシックレストラン 夫が失踪した女パールと3人の子供たち。愛があるけど煩わしい。煩わしいけど気にかけずにいられない、そんな家族の物語
パッチワークプラネット 30歳でバツ一、コブ付きの便利屋バーナビーの物語
偶然の旅行者 子供の死のショックから立ち直れない旅行ライターが妻との葛藤を抱えながら犬の訓練士に惹かれ人生を取り戻してゆく
あのころわたしたちは大人だった 古い自宅をパーティスペースとして提供する商売をしている53歳の主婦ベックが新しい人生を取り戻そうとする話。

これを見てもらってわかるように彼女の小説は粗筋だけみると
ほんとどうってことない話。
だけど、普通の人々の微妙なズレ、それによって生じる軋轢、それらをユーモアをもって表した描写が抜群に巧いんですよ。だからもっともっと登場人物のことが知りたくて本を閉じるのが惜しいくらい。
またそのユーモアにも皮肉っぽさを感じないので読んでてキモチいいんですよ〜

でも映画化やドラマ化されるとそのへんのところがなかなかうまく表現されずに「パッチワーク・プラネット」のあとがきで山田太一センセイが 「ブリージングレッスン」のテレビドラマをみて『アン・タイラーが気の毒で気の毒でしょうがなかった』と書いてあるようにほんとそういう感じの映画が多かったりするのがファンとしてはとっても歯がゆかったり。

 
 
 
 
映画化はこんな感じ


ブリージングレッスン
(1994)
「一日の旅路」TV
監督ジョン・アーマン(ステラ、サンシャインボーイズ)
ジョアン・ウッドワード、ジェームス・ガーナー出演

ジェームス・ガーナー演じるところの無口なアイラは口笛で本心を表すのが癖。それは単純な連想でちょっとした家の修理をするときは「思い出の家」、
洗濯ヒモから洗濯ものを取り込むときは「ウィチタ架線作業員」、てな感じ。で、自分たちの息子の別れた妻のところへ孫の面倒を見にいくという妻に文句を言う代わりに無意識に「パッツィー・クライン」の「クレイジー」を思わず吹いてしまう。夫のその癖を知ってる妻に「クレイジーなんかじゃないわよ」と言われて目を白黒して驚くという微妙なおかしさが映画ではうまいこといってなくて単なるヘンな夫婦って感じになってるのが悲すぃ〜。


夢見た旅
(1999)
「ブロークンハイウエイ」
主人公の主婦はいつも丸襟で小花柄のふわっとしたワンピースを着てる気弱でおどおどした主婦。スーザンサランドンがその役をするって聞いた時はえーってな感じでした。がしかし、驚きました。サランドン、ふわふわした夢見がちな主婦のイメージぴったりなんですよ。流石とかいいようがありません。
でも、ラストがねというかスーザン・サランドンとスティーブン・ドーフをそういうふうにするのはやっぱ原作の面白さを大激減っすよ。

もしかして聖人
(1998)
「もしかして聖人」TV
監督マイケル・プレスマン
トーマス・マッカーシー、メアリー・ルイーズ・パーカー出演

これすごく好きな話なんですよ。兄さんが事故で死んだ原因は自分にあると思い込んだ主人公が兄さんたちのひとすじなわじゃいかない子供たちを育てる10数年にわたる物語なんですが、うーん。観たいなあ。でもちと怖い。


スリッピングダウンライフ
(1999)

「スリピングダウンライフ」
監督トニ・カレム(ワンダラーズ、15ミニッツ出演)
リリ・テイラー、ガイ・ピアース出演

お。ガイ・ピアースだ。主人公のあこがれるロックスター役。
これが今回のTrailerの映画ですね。
し、しかしこれ17歳の女の子が主人公なんですが、リリ・テイラーこの時で32。リリ・テイラーは好きなんですがちょっと年齢違いすぎるような。でも観たら案外しっくりいってるのかな??と希望をもってみる。


偶然の旅行者
(1988)
「偶然の旅行者」
監督ローレンス・カスダン
ウイリアム・ハート、キャスリン・ターナー、ジーナ・デイビス出演

ご存知ジーナ・ディビスアカデミー助演女優賞受賞作。映画としての評判はこれ一番なんですけど、わたし翻訳されてるので唯一これだけ読めてないんですよ〜。絶版でみつかりません。悲しい。