ホントはデブなのにぃ

わたくし読書がけっこう趣味でして、デブが登場する作品が映画化されると聞くと
あのデブはどんなデブになって画面に登場するんだろう?
と大いなる期待を抱きます。
が、
原作の通りというのはまずなく「全然違うやんかーー」と地団太踏む場合がほとんどです。
もっとひどい場合にはデブでさえ、ない場合があります。
だいたい物語の中でデブが重要な役割を果たせば果たすほど
メジャーどころの俳優が役につくので
なかなか本物のデブが演じることが少なく
演技面では合格でもビジュアル面で物足らないことがほとんど。
つうわけでそんな感じの最近の作品を2つほど。

 

港湾ニュース
E・アニー・ブルー(著)
 


だいたいのあらすじ
子供の頃から不器用で何事も自信のないクオイルは
初めて出会った女ケイト・ブランシェットに夢中になり結婚する。
が彼女は浮気し放題の性悪女だった。
それでもクオイルは仕事に出かけ二人の子供の面倒をみながら妻が家に連れ込んだ
男との睦言を聞きながらそれなりに暮らしているのだった。
そんな生活が終わりを告げるときが来た。
先ず、両親が借金を抱え自殺、その後、妻が浮気相手と車の事故で死亡。
それも妻は二人の子供を「人身サービス」に売る途中だった。
失意のクオイルは叔母ジュディ・デンチにさそわれ、彼ら一族の故郷であるニューファンドランドで新しい生活を始めるが・・

デブはもちろんクオイル
でもってこれ描写


クオイルの体は水分を含んだ巨大なパンの塊のようだった。
六歳にして、彼の体重は80ポンドもあった。十六歳の時には
全身が肉にうもれているかのようだった。
頭の形はクレンショーメロンのようで、
首はなく赤みがかかった髪が波打っていた。
目と鼻と口は一箇所に固まっていた。目はプラスチックの色だった。
あごは巨大で顔の下半分からつきでているグロテスクな岩棚という感じだった。
(「港湾(シッピング)ニュース」E・アニー・ブルー著から抜粋)

 
 

六歳で80ポンドということは1ポンドだいたい450グラムだから
36キロの幼稚園年長さん。こんな子がファミレスで走り回っていたらうるさくてかないません。
全身が肉に埋もれてるってことで肌の色は違いますが
「愛しのローズマリー」のJoshua"Li'iBoy"Shintaniクラスのデブを想像しました(もちろん左側)。

首はなく
というのも目と鼻と口は一箇所に固まっていた
というのもぴったりです。
巨大な顎はちょっと想像つかなかったので画像検索したところ
この人の画像が

 
 
 

が、しかーし。
映画ではこれ。

 

ケビン・スペイシー。
まあ、いつもの彼よりは太ってはいましたが、
そんな程度じゃまったくダメダメ。
それにクオイルは蠅一匹殺せない人物ですが
どうもケビン・スペイシーが演っていると、
目の奥に油断できない光があり
誰かに飲み物を差し出すと
あぶなーーいい気を付けて!とはらはらしたり
ジュリアン・ムーアに気があるフリをして
ホントはリス・エバンスを狙ってるんじゃないかとか
島の人を皆殺しにするのはいつなのか、
と物語に集中できませんでした。
はい。

 
シンプルプラン     
 
スコット・B・スミス(著)
 


だいたいのあらすじ
田舎の飼料店の会計士ジェイソン・パトリックは
妻、ブリジット・フォンダと硬く堅実なそれなりに幸せな暮らしをしていた。もうじき子供が生まれる。
両親は数年前、農場の借金を返すために高速道路で大型トラックに突っ込み自殺している。
兄ジェイコブは子供のころからぱっとしないうだつがあがらない男。今も独身で金物屋の二階の汚い小部屋でその日暮らしをしている。
兄にほとんど人付き合いはないが唯一の友人といえる男は飲んだくれで金にだらしないギャンブル好きのルー。友人といいながらもそのルーにジェイコブはいいように扱われている。
ある日両親の墓参りの途中ジェイソン・パトリックと兄とルーの3人は森の中で墜落した飛行機の中に440万ドルの大金を発見する。
とりあえず3人はその金を保管し後で分けるためのシンプルな計画を立てるが・・・。

で、デブなのはこのジェイソン・パトリックの兄ジェイコブ。
その描写部分がこれ。


ぼくたちがならんでいるのを見ても兄弟だとわかる人はいないだろう。
ジェイコブは父親似だったがぼくは母親似で、まったくと言っていいほど違っていた。
ぼくは髪も目も茶色で中肉中背。ジェイコブはぼくより5.6インチ背が低く、目は青色で髪は砂色がかったブロンドだった。それに兄は太っていた。
グロテスクなまでの肥満体で、でぶを漫画風にかけばこうなるだろうという体躯だった。
大きな手と大きな足、大きな歯、それに厚い眼鏡をかけ、青白いぶよぶよの肌をしていた
(「シンプルプラン」スコット・スミス著 より抜粋)

 
 

グロテスクなまでの肥満体と言えばちょっとやそっとのデブじゃあ
いかんです。下、ケン・ハドソン・キャンベルくらいのデブでないと。
でもって彼のこのいじめられっこオーラを発しているおどおどした感じもグー。
顔の感じは彼ではちょっと皮膚や髪の色が濃すぎるので
フリップ・シーモアホフマンで。顔のつくりでなくあくまでも
全体的な色素の感じがってことで。
おお〜。わたしの中のジェイコブ出来上がりっと

 
  が、しかーし。
映画ではこれ。
ビリーボブ・ソーントン。
同じなのはメガネだけじゃん。
つうかデブじゃないし。
脚本をスコット・スミス作者自身がするので期待してたのに〜
キャストまでは口出しできないのね
最初キャスト聞いた時はうさんくさい友人のルー役のほうを演るの
かと思ったですよ

 

・・・・なんて
不満たらたらでしたが
映画を観て態度一変。
ぶらぼー。ビリーボブ。
演技はまさにジェイコブ。
最後はなんの違和感もなく感動すら覚えて見終わったです。
はい。


 

 

 

   
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