映画の「トロイ」で「神」はトロイの守護神として神殿に祀られた、もしくは神官が聞くお告げ、といった象徴、偶像としての登場しかありませんでした。
んが、原作の『イりアス』もしくは『ギリシャ神話』と呼ばれる伝承物語においては「神」の存在は人の目に見える形で人間の日々の営みに、んもう、当たり前のようにばりばり、存在し、介入していました。

また神は強大な力を持ちながらも公明正大な裁き振る舞いをするわけではなく私利私欲愛憎、加えてその時の気分しだいの裁定で人間たちの運命を左右していきます。トロイ戦争も、そういった神の思惑が大きく働いた戦争でした。

神は今よりも人間の身近にいて人間は神の思惑に翻弄され、しかしそれゆえに人間の声も神に届きやすかったと言えます。人間と交わる神もいて結果子供が生まれるわけですが、神である父親(もしくは母親)はその子供に肩入れするのでそれが戦争の場であった場合、人間たちの運命は大きく動くというわけです。

 

映画ではパリスがスパルタを訪れたことにより、ふたりは恋に落ち、パリスがヘレンをさらい、それがトロイ戦争のきっかけになったように描かれてます。しかしギリシャ神話のほうではその前にパリスとヘレンが出会うきっかけとなる「不和のりんご」事件が起こります。
これが神話上でのトロイ戦争の大きなきっかけでした。その事件は人間でなく神が起こしたものでした。
以下でその「不和のりんご」のあらましを書いてみます。

 


(以下、神さまの名前は人間と区別するため
赤字で表記。)

「不和のりんご」

後にアキレスの母となる海の女神テティス。彼女の産んだ子供はその父親の力を超えると予言されたためゼウスによりアルゴ号の乗船員であったペレウス(人間)と結婚をさせられる。
その結婚式には大勢の神々が招かれ盛大に行なわれるが争いの女神であるエリスだけが招かれなかった。
怒ったエリスは会場に「もっとも美しき女神へ」と書かれた黄金のりんごを投げ込んだ。
その場にいたアフロディーテ、ヘラ、アテナ、三人の女神たちはそれが自分のものだといってりんごを奪い譲らない。裁定を求められたゼウスは誰を選んでも必ず残りの二人には恨まれることはわかっていたのでその役割をパリスに向けた。
パリスはその時、生まれた時にトロイ国を滅ぼすと予言されたため、山中に捨てられ、羊飼いとして暮らしていた。

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「美の審判」

女神たちはそれぞれ、自分が選ばれようとパリスを買収。
アフロディーテは「世界で一番美しい女」をヘラは「権力」をアテナは「知恵」を授けると提案。それでパリスはアフロディーテをえらび「世界で一番美しい女」がパリスに与えられることになった。
そして選ばれたのがゼウスが白鳥に姿を変えてレダに近づき交わり作ったといわれる絶世の美女ヘレンだった。
しかしそれはすぐにはパリスの手には入らず数年が流れた。

**

ある年にトロイではプリアモス主催の競技会が開かれた。パリスもそれに参加。
パリスの飼っていたお気に入りの牛が競技会の商品にするために強制的に没収されたからだ。
パリスはその牛を取り返すために競技の参加者としてトロイに出向いた。
パリスは競技会を勝ち抜きトロイ国の王子であるヘクトルと対戦することになる。
結果パリスが勝つが羊飼いごときが王子の面子をつぶしたということで殺されそうになる。しかし妹の(注1)カッサンドラがパリスを王子と気づきそして美しく雄雄しく育ったパリスは歓迎され王子として国に戻った

注1 このカッサンドラは映画には登場しないがギリシャ神話では悲劇の預言者として有名。トロイに木馬を引き入れるのは危険だと必死に忠告するにもかかわらずアポロンのかけたカッサンドラの予言は誰も信じないという呪いによって誰も聞く耳を持たなかった。アポロンが呪いをかけたのは予言の力を授けたのにカッサンドラが身を任せなかったため。


人間は二つの運命を持つ。自ら選択し、その結果向かえる運命。そして、選択が不可能な運命。我々が選択できない運命とは、たとえば自然災害、事故などがある。これらは、ゼウスの怒りであり、神々の気まぐれなのである。

神々の王。全能の神。ゼウスは、神々と人間の支配者であった。彼の意思は「掟」であり、彼の気まぐれは「運命」であった。その足音は雷鳴であり、その微笑みは繁栄であり、その怒りは破滅であった。

上の文は神(ゼウス)と人間の関係を表した文ですが、これを基本にギリシャ神話は進行していくわけです。もちろんその中に含まれるトロイ戦争も例外ではありません。

さて人間たちを翻弄するそれぞれの神さまたちはギリシャとトロイどちらの味方だったのでしょうか。

まずは神の中の神であるゼウス。彼は中立。
トロイに味方したりギリシャに味方したり。
というのも地球上の人口が増えすぎたためにそれを減らすにはこの戦争が都合がよく、
少しでも長引かせたいという思惑から。

アフロディーテ (愛と美の女神)はパリスが一番美しい女神として自分を選んだからもちろんトロイ側。
アポロンはヘクトルを寵愛していたためトロイ側。

そして当然のようにパリスに選ばれなかったヘラ (ゼウスの姉で妻(正妻)) 結婚をつかさどる女神 とアテナ (英雄、王侯の守護神)はギリシャ側。
プリセウスの父の代に築かれたトロイの城壁の建設に協力したのにもかかわらずその報酬をもらえなかったためにトロイを怨んでいるポセイドンもギリシャ側。

一覧にしてみるとこんな感じ。

 

中立

ゼウス(最高神)


トロイ側


ギリシャ側

アフロディーテ(美の女神)

「美の審判」でパリスが自分を選んだから

ヘラ(既婚女性の守護神)
ゼウスの姉で正妻

「美の審判」でパリスが自分を選ばなかったから

アポロン

トロイ国のヘクトルを寵愛していた

アテナ(理性、知性の女神)

ヘラと同じ理由

アルテミス(狩猟の女神)

アポロンと双子。アポロンに倣った

ポセイドン(海神)

プリアモスの父の代で築かれたトロイ城壁の建立に協力をしたのにもかかわらずその報酬を渡されなかったのでトロイを憎んでいる。

アレス(戦いを司る神)

アフロディーテに引き込まれて

ヘパイストス(鍛冶神)

アレスが嫌いなので。



そしてこれから映画は始まりパリスとヘレンは恋に落ちます。映画では自主的に惹かれあいますが、神話ではアフロディーテの後押しやそそのかしがあります。
ちなみにギリシャとトロイの位置関係は右のようになっております。
さて、パリスですが神話のパリスは映画よりももっと美男子の設定になっております。なにせ国に不幸をもたらすといわれ、王に山に捨ててくるように言われた奴隷がそのあまりの美しさに一度は捨てたもののもう一度捨てた場所に戻り自分の子供として育てたくらい。またはパリスがスパルタを訪れた時その美貌が国中にひろまるほど、また国を滅ぼすといわれていたのにもかかわらずそれさえも国王に忘れさせて王子として国に受け入れさせてしまうくらい、それくらいパリスは美しい青年でした。

ちなみに原作とされている「イリアス」部分は映画の真ん中過ぎ、アガメムノンがアキレスの愛妾ブリセウスを奪ったところからアキレスの死まで。トロイの木馬部分は入っていません。

映画ではトロイ戦争は数日の出来事のように描かれてますが神話ではだいたい10年くらいかけて戦争しております。

もひとつ、神話での年齢設定は激しくアバウトな感じになってるようです。

 


 

↓で、映画のはじまりはじまり〜と。ここからは神様の出ない映画と
神様のばりばり介入する神話のストーリーの違いを比べてみます。

映画 神話

スパルタのメネラウス王(ブレンダン・グレッソン)は、長年にわたる敵であるトロイの王子ヘクトル(エリック・バナ)を和解の宴に招いた。二人の指導者が長年続いた戦争と破壊の終結を祝った日の夜、ヘクトルの弟で絶世の美男子であるパリス(オーランド・ブルーム)は、メネラウスの妻へレン(ダイアン・クルーガー)の寝室に忍び込んだ。二人は出会った瞬間から、禁断の恋に落ちていたのだ。パリスは情熱のままに、ヘレンをメネラウスの宮殿から奪い去る。


トロイ国王、プリアモスは戻ってきたパリスに昔ギリシャ国に略奪され小国の女王として寂しく暮らしている姉を取り戻してくるよう頼む。
その時がアフロディーテの約束が果たされるときだった。パリスは交渉にいったスパルタでアフロディーテの助けを受けヘレンを口説き落とし、王の留守中にヘレンはもちらろんスパルタの財宝なども強奪してトロイに戻った。


ギリシャ人の指導者達の多くはかつて、争うようにしてヘレンに求愛したことがあった。彼らは、ヘレンを勝ち取り妻にした男であるメネラウスの権利を守るために、トロイとの戦争に集結した。


ヘレンの美しさは幼少のみぎりから有名で多くの求婚者がいた。彼女が結婚するときにヘレンが誰と結婚しても恨まない、彼女、または彼女の夫が苦境に立たされた場合は元の求婚者たちは集結し彼女たちを助けねばならないと、取り決めがなされた。
オデッセウスもその求婚者の一人だったが今は、美しい妻と子供もおりヘレンのことなどどうでもよくなっていた。なので気が触れたふりをしてその役目をのがれようとするが見破られ結局戦いに参加することになる。


メネラウスの兄であるアガメムノン(ブライアン・コックス)は、対トロイ戦争に参戦させるために、アキレス(ブラッド・ピット)を呼び出す。アキレスは、敵がその名を耳にしただけで恐怖に凍りつくといわれる無敵の戦士だった。人々はアキレスの母親は女神であり、彼は母親から不死の力を与えられていると噂したほどだった。


アキレスは出征すると死ぬと予言されていたため母のテティスによって女装を施され匿われていた。が交渉にやってきたオデッセウスの策略によって見破られる。もともとアキレスは平穏に暮らすよりも英雄として名を残したいと思っていたので遠征に参加することにする。


千艘ものギリシャ軍の船がトロイの海岸に上陸し、アキレスがその超人的な能力で攻勢をかけると、ギリシャ軍はたちまち海岸を占領した。


10万人1000艘の舟がトロイ(今のトルコ)に向かった。
トロイに到着したギリシャ軍は長期戦を見込んで海岸に小屋を建てた。


ヘレンは、自分が幸福を手に入れた代償に心を痛めるが、どうすることもできない。パリスの愛が彼女を支えていたが、パリスも自らが同胞にもたらした災厄に打ちひしがれてた。


(そんでまあ神話のほうでは10年近くの月日が流れる、と)


アキレスは、個人的な利得のためだけに行動するアガメムノンに対する軽蔑を隠そうとしなかった。アキレスは自分以外の誰かのために戦うことはなかった。ある日、自らのテントに、反抗的ではあるが恐怖に震える娘を見つけるまでは……。その娘、ブリセウス(ローズ・バーン)はヘクトルの従姉妹で、アキレスの功績に対する戦利品として与えられたものだった。生きている人間の中で唯一、自分の力に屈しようとしない彼女に興味をそそられ、アキレスは彼女を愛妾とする。しかし、彼女に対するアキレスの愛着を知ったアガメムノンは、アキレスへの怒りと嫉妬からブリセウスをさらってしまう。激怒したアキレスは王のために戦うことを拒否する。


(ここからが映画の原作と言われている「イリアス」部分)

戦争の決着はつかないもののその間ギリシャ軍はトロイの町から財宝や食料、女性を略奪していた。その中からアガメムノンは神官の娘クリュセイスを、アキレスはブリセウスを手に入れていた。娘(クリュセイス)を奪われたトロイの神官はアガメムノンに多額の身代金を引き換えに娘を返してくれと頼むがアガメムノンは拒否。神官はアポロンにギリシャ軍への報復を祈願。注)アポロンは願いを受け入れギリシャ軍に疫病を流行らせた。その原因を突き止めた預言者がクリュセイスを返さなければ疫病は治まらないと告げたのでしぶしぶアガメムノンは娘を返すがその代わりにアキレスが手に入れたブリセウスを無理やり奪いとる。

激怒したアキレスはティティスゼウスを味方につけギリシャ軍が不利な状況になり自分を軽んじたことをアガメムノンが後悔することになるようにしてくれと頼みゼウスもそれを引き受ける。アキレスはそれ以来戦いを放棄する。

注)この疫病のエピソード部分を映画ではラスト近く撤退のフリをしたギリシャ陣地で疫病にかかったたくさんの死体が横たわってるというシーンにアレンジして利用したとみた


アキレスを欠いたギリシャ軍にとってトロイはより手強い敵となり、両国の運命はふたたび変転する。
ヘクトルによりメネラウスが殺される。拮抗状態を憂いたアキレスの従兄弟のパトクロスがアキレスには黙り彼の鎧をつけ部下を率いてトロイ軍に乗り込む。部下もトロイ軍もその姿をみてアキレスだと思い込む。
もちろんヘクトルもその鎧姿から彼がアキレスだと信じ一騎打ちの末パトクロスを殺してしまう。


アキレスに頼まれたゼウスはアガメムノンを夢で惑わすことにする。
神々がギリシャ軍を勝たせることにしたので攻め込めばトロイを落すことが出来るという夢を見せる。アガメムノンはそれを信じて全軍を率いてトロイへ攻め込む。
そこでパリスとメネラウスの一騎打ちがなされる。メネラウスにあわや討たれかけたパリスはアフロディーテの味方によりなんとか助かり、なお討とうとするメネラウスから守るためにアフロディーテは霧を発生させパリスを守る。
アキレスのいないギリシャ軍は敗戦の色を濃くしていた。パトクロスはアキレスの許可をえてアキレスの鎧をつけトロイ軍に攻め入るがアポロンを味方につけた注)ヘクトルに討たれる。アキレスの鎧もトロイ軍へ没収される。

注)そもそもパトクロスが出陣しようとした理由のギリシャ軍の不利はアキレスがゼウスにギリシャ軍がそうなるように頼んだせいであるわけで、パロクロスの死にはアキレスにも責任があるんじゃないかい?


親友であるパトクロスを殺されたアキレスは激怒。
トロイ軍に乗り込みヘクトルと一騎打ちになる。ヘクトルは殺されアキレスに市中を引き回される。
夜中になりプリセウスがアキレスのもとを訪れヘクトルの遺体を返すよう頼む。ヘクトルの死体は戻され手厚く葬儀が行なわれる。


アキレスはパトロクロスの敵を討ちにトロイへ乗り込む。このとき母テティスが鍛冶の神ヘパイストスに頼んで作らせた新しい鎧を着けている。ヘクトルは父の願い(ヘクトルは知将タイプで実践型ではないと思われていた)に逆らいアキレスと対決しようとする。しかしアキレスを前にすると恐怖に怖気づき城壁の周りを走って逃げ出す。その後を追いかけるアキレス。ゼウスは二人の勝負を天秤にかけていた。ヘクトルの皿が下がり死が決定した。ヘクトルの鎧の隙間から出ている首を狙ってアキレスが槍を突き刺す。

ヘクトルは死に、アキレスはヘクトルの死体を戦車の後ろに紐でつなぎ引き回し自分の陣地へ連れて帰った。ヘクトルの死体は何日もアキレスの小屋に放置されていた。プリアモスは多額の身代金を持ち、夜中しのびでヘルメスの力を借り敵地の中アキレスの小屋を訪れる。アキレスの手に接吻しヘクトルの遺体を返して欲しいと嘆願する。その姿に胸を打たれたアキレスはヘクトルの遺体を返す。
ヘクトルの葬儀期間中は休戦が約束される

 


トロイに奇襲をかけられ敗戦が色濃くなったギリシャ軍のオデッセウスは妙案を思いつく。
軍に疫病が流行り、撤退したと思わせ、そこに巨大な木馬を残す。その木馬に身を潜め、トロイの城内に入ろうという作戦だった。作戦は見事成功。トロイ軍は陥落。


再び戦争は始まり、アキレスの参戦でギリシャ軍は優位な状況になった。
トロイの城門に迫っていたアキレスをみつけたアポロンはパリスに命じて弓を射させる。それはアキレスの急所であるアキレス腱に命中しアキレスは命を落す。
(ここまでが「イリアス」
部分


しかしアキレスはテティスの杞憂していた予言どおり弱点であるアキレス腱を撃たれ死ぬ。
アキレスの両目に黄泉の川を渡る硬貨を乗せるオデュッセウス。アキレスを葬る火の粉と煙がトロイの夜空に立ち上っていくのだった。

↑ここで映画は終わり


パリスはギリシャ軍のヘラクレスの弓を持つピロクテテス(ヘレンの元求婚者)の放った矢に討たれ死ぬ。

優位に立っているもののいまひとつトロイ陥落の決め手を欠くギリシャ軍はオデュッセウスにより妙案を思いつく。陣営を焼き払い、撤退したと見せかけ贈り物と見せかけた木馬に兵士を潜ませ城内に入り込む作戦。後には大きな木馬を残し兵士はトロイから見えない沖まで船を出し待機していた。
ギリシャの作戦に嵌ったトロイ軍は城内に注)戦利品として木馬を引き入れる。

勝利の美酒にトロイ軍が酔いしれる深夜、ギリシャ軍の兵士たちは木馬から姿を見せ沖合いで待機していた船も岸にもどり一斉にトロイ城内に攻め込む。

注)陸の馬はポセイドンが創ったとされている(当時ポセイドンが求愛していたデメテル女神に求愛を受けて欲しければ陸の生物を贈りものとして創ってくれといわれて創ったのが馬という生き物)。ロバ、キリン、カバ、などは馬を作るまでの失敗作といわれている。そのあたりがトロイ軍があまり抵抗なく木馬を受け入れた理由のひとつでは

 


 



そしてトロイは陥落し、ギリシャ軍は多くの戦利品をたずさえ故郷に戻るがその道のりは平坦でなく航路に迷う者、溺死する者も多数、帰郷に10年以上要するものも数多くいた。

↑ここで神話「トロイ戦争」終わり

 


というわけでトロイ戦争は終わるわけですが、
それぞれの登場人物はどうなったでしょう。
以下は登場人物のその後と神話と映画の違いを書いてみます。

 

登場人物:映画と神話の違いとトロイ陥落後の神話でのそれぞれ
テティス(女神)

ネレウス(海神)とドリスの娘
アルゴ号乗組員のペレウス(人間)と結婚。アキレスの母。
ティティスから産まれる子供は父親より偉大になるといわれているのでゼウスの策略で人間と結婚させられる。
映画では海の女神であるという噂はあるが扱いは人間。

アキレス

テティスとペレウスの子供
人間として生まれてきた子供を不死身にしたいと望んだティティスにより
死者の国の泉ステュクスに浸されるがその時ティティスのつかんでいた場所が踵の少し上でそこだけ泉の水がかからなかったためそこがアキレスの弱点、アキレス腱と呼ばれるようになる。

パリス

神話では山で暮らしていた頃、ニンフ(妖精)のオイノネという許婚がいた。
トロイ戦争でピロクテテスの放ったヘラクレスの矢で瀕死の傷を負ったパリスはその傷が治せるのは元の許婚のオイノネだという予言を思い出しレダ山に戻る。が、彼女は治療を拒否。しかしオイノネは後で後悔。トロイに戻るが彼は火葬されている最中。悲観したオイノネはパリスの焼かれる炎の中に飛び込む

ちなみに彼が弓を使ってアキレスを殺したのは彼がレゴラスだったからでなく(こらこら)、当時身分の高い諸侯は重い鎧を着け槍や剣で戦うもので弓矢を使うのは青銅の鎧をつけない一般兵士だった。彼が剣でなく弓矢の名手になったのは位の高い王子として成長したのでなく、羊飼いとして育ったことに関係しているのかも。それに加えれば彼の戦いのスタイルとしてもともと少し離れた場所から弓矢で戦うのが好みだった。

ヘレン

ゼウスが白鳥に姿を変えて愛を交わしたと言われるレダの娘。
結婚する前は求婚者が大勢いて求婚者たちで彼女の将来にわたって困ったことがあったら助けようと誓いをたてられていた。

パリス亡きあとは彼の弟ディポポス(総大将)と結婚。乗り込んできたメネラオスにディポポスは滅多切りにされ殺害される。そのあとメネラオスはヘレンに剣を振り上げたがヘレンのその美しさに陥落。ヘレンを許し、数年のエジプトでの生活の後、ギリシャに戻り王、王妃として暮らした。

プリアモス

映画ではヘクトルとパリスの二人だけの子供といった感じに描かれたいるが男50、女50人総勢100名ほどの子供がいたと言われている。ヘクトルとパリスは第二妻ヘカベの子供。その下に預言者として有名なカッサンドラがいる。トロイ崩落後アキレスの子供ピュロス(ネオプトレモスとも呼ばれる)に殺される

ヘクトル

アンドロマケとの子供、アステュアナクスはトロイ陥落の折、アキレスの息子ピュロスに捕らえられプリアモスが見る中城壁から叩き落され殺される。

アガメムノン

映画ではブリウスに殺されているが、神話では生き延び、とりあえずギリシャに戻る。しかし、

プリアモスの娘カッサンドラを連れてギリシャに帰るが妻とその愛人アイギスオス (アガメムノンの従兄弟)に殺される。
その仇は娘であるエレクトラが弟オレステスと力をあわせて討った。(娘が父親に性愛的感情をもち母親を敵外視する「エレクトラコンプレックス」の語源となる)

メネラオス

映画ではヘクトルに殺されているが神話ではヘレンをつれて何事もなかったようにギリシャに戻ろうとする。さすがにそれはむしがよすぎるということで神たちはふたりの舟をギリシャにたどり着けないようにあちらこちらに流すが、それにもめげず無事ギリシャにたどり着き王、王妃として幸せに暮らす。

アンドロマケ

トロイ陥落後、アキレスの息子ピュロス(ちなみに彼の婚約者がヘレンとメネラオスの娘ヘルミオネ)に戦利品として引き渡される。ピュロスに息子を殺され、後、ヘクトルの兄弟ヘレノスと結婚。

プリセウス

映画では神官の娘となっているが神話のほうではアガメムノンの捕らえた娘クリュセイスが神官の娘でアキレスの捕らえたブリセイスは神官の娘ではない。映画ではクリュセイスは登場しないのでその二人をあわせたキャラになっているのかな。

オデュッセウス(ローマでの呼び名はユリシーズ)

トロイ戦争を終え国に戻るのに大変な困難に会う。(その間の冒険譚がいわゆる「OH!ブラザー」の原作になった「オデッセウス」ですね。)
20年かけてなんとか故郷に戻るものの美しい妻のペネロペには大勢の求婚者が殺到。妻ももしかしてもうオデッセウスは死んだのかもと思っていた。
とりあえず様子を見るためにオデッセウスは乞食の格好をして宮殿に入りペネロペへの求婚者を皆殺しにしペネロペと再会。
あまりにも容貌の変わったオデュッセウスに最初妻が彼が本人だと信じられなかったが二人だけの知っている昔話をし自分がオデッセウスだと確認。

(もう一説、求婚を断り切れなくなったペネロペがオデュセウスの弓を引けたものと結婚するという。誰もその弓を引けるものはおらずそのに現れた乞食姿のオデュッセウスが弓を引きペネロペは彼がオデュッセウスと確認し幸せに暮らしましたとさ、というパターンもあり)

 




(↑パリスがメネラウスと戦う前にプリアモスが渡した剣ね)

んで最後にパリスが秘密の通路でトロイの剣を託した青年アイネアス(アフロディーテの子)は
アフロディーテの助けでトロイを脱出、舟で長旅に出る。
後にイタリアにたどり着きローマの始祖となる、とギリシャ神話ではそういう風になっております。

まとめといいながらまとまりのない文に最後までおつきあいいただきありがとございます。
なにせ映画は1回しかみてないんであやふやな部分あったり、
ギリシャ神話も全く詳しくないので間違った部分もあると思いますが、許してくらさい。
ここちがうぜっって部分は教えてくだされば嬉しいっす


 

このページを作るにあたって以下のサイトを参考(一部文章引用も)にさせていただきました。

http://www.ffortune.net/symbol/sinwa/sinwa/index.htm

http://ja.wikipedia.org/wiki/

http://members.at.infoseek.co.jp/cepsyche/methology7a.html

http://www.ne.jp/asahi/art/dorian/Greek/Twelve/Jupiter/Jupiter.htm

http://www.asahi-net.or.jp/~qi3m-oonk/tosyokan/tosyokan.htm

書籍は以下のもの参照しています。

「イリアス」岩波文庫
「ギリシャ神話」偕成社文庫
「ギリシャ神話を知っていますか」新潮文庫
「図解雑学ギリシャ神話」ナツメ社

映画部分のストーリーは公式サイトからコピーしています

 

 

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