アバウト・ア・ボーイ
冒頭のヒュー・グラントとニコラス・ホルト演じるところの登場人物の紹介シーン。
軽快な音楽にあわせてテンポよく二人の人となりを伝えてくれます。
もうこれだけで、この映画がどれだけ面白いかということがびしばし伝わり心はわくわく。
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ヒュー・グラント演じるところのウィルは親の遺産で暮らしている38にして一度も定職についたことのない、どうしようもない男。
恋人とは2ヶ月以上もったことがないし、自分のことしか頭にない。
見栄えはよくて物腰もやわらかいのでとりあえずは女たちも関心を抱いてはくれるが話をしているうちに彼の中身が空っぽだということはすぐにわかってしまう。
けれども彼にもいいところはあるわけで、いつまでも大人になれないぶん子供に近い場所にいるってこと。だからマーカスもそれを敏感に嗅ぎ取って彼に近づいてゆく。
マーカスは情緒不安定な母親と二人暮らし。いつまた母親が自殺をするかびくびくしている上に学校でもいじめられている。
その窮状をわかってくれるのは本当の大人でなく(ヒュー・グラントが望もうと望まなかろうと)大人になりきれない彼なのだ。
この映画はそんな二人の成長物語。
お互いがお互いにかかわることによっていろいろなことを学びとってゆく。
そういう話だと全体に説教がましいムードがながれがちなんだけど。この映画はそういうところが全くないのがすばらしい〜。
ずっとそこはかとないユーモアが根底に流れていて、こちらはいつでも笑いの準備が出来ている状態。そこにちょっと刺激を加えられたその時のおかしさといったら。いくら笑いをこらえても笑いがこみ上げてきてしょうがないって感じでそれがまた心地よろしいんですわ。
ヒュー・グラントあまり好きではないのですが、
(「おいしい生活」とかあのへんの役は好きですが)
この映画での彼はやっぱイイ!と言わざるをえないっす。
特にラスト近くの舞台に上がるシーン。
他者を自分だけの島に受け入れた瞬間、今まで自分以外の誰かを心から心配したことのない彼が他人を心配する。しかしそんな自分に戸惑っている。でも今までの自分を捨てきるのもどうか?といったいろいろな感情が入り混じった、でもこれでいいのだといった納得しながらも憮然、かつ、やけっぱちの表情(長っ)は一見の価値がありです。
ヒュー・グラントこれで何か賞とるんじゃないかと踏んでおりますがどうでしょう。
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わたくし「ハイフィデリティ」ですっかりニック・ホーンビィにヤラれておりまして、この映画もクビをながーーくして待っていたわけですが、期待をはるかに上回るものでした。
それにしても自作小説が2本ともこういう原作のテーストを生かしきった作品に仕上がるなんてニック・ホーンビィ、ツイてるなあ〜。
だいたいはおいおい、なんだか勝手な監督の解釈が入ってテーマまでも変わってしまってるんですけど的原作が多いんですけど。ほんとラッキー。
あと日本語訳されてる作品では
新潮文庫の「ぼくのプレミアライフ」(原題Fever
Pich)があるのですが、
なんと!コリン・ファレル主演で映画になっているではありませんか。
でも日本版のリリースは残念ながらないみたい。
日本版が出るのを天に祈ります。南無南無。
小説のほうの新作は「How to be
Good」。
これまでの3作とちがって主人公は女性。開業医で題名のとおり「Good」いい人になろうとこころがけているが、ひょんなことから浮気をしてしまって、ってな感じの話らしいです。
うーむ。楽しみ。
今日のデブ
ヒュー・グラントに子供の名づけ親を頼む妹の旦那役、Nicholas
Hutchison。画像はみつけられせんでしたが、他に「102」のレポーター役として出演しているようです。
その他、シングルマザーの会「SPAT」の会員女性には大勢のデブがおりましたが、調べてみたところほとんどが映画出演はこの「アバウトアボーイ」が初めてのようで有名な人はいないようです。
あとはトニー・コレットかな。顔はそうでもないですがけっこう体型はどすこいしてました。
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