その1
 

インソムニア

ん〜?!凶悪犯人がロビン・ウイリアムスう〜??
ってな感じで挑んだ「インソムニア」ですが、いや、すみません。謝りますロビン・ウイリアムス見直しました。はい。見事に犯人役ハマってます。
また、この人物設定が、「いい人」ロビン・ウイリアムスにわたしたちがうっすら感じるているところ、あんた隠してるけど、ほんとは・・・・なとこあるんじゃないの〜?、
の「・・・・」部分をうまくついた役どころ。
彼の凶器は拳(こぶし)なんですが、(被害少女は撲殺された)
同じようなパンチをヒラリー・スワンクもくらうシーンがあり、それがまあ
あの固太りの体型と毛むくじゃらの太短い腕から繰り出されるとほんと痛そう。
サンドバックに激突されたような衝撃。観てるこっちの内臓にまでずしりとくるパンチで、そら、人死ぬわな、ってな感じ。
この凶器がナイフなんかじゃないとこが一段と役柄にリアルな感じを与えてます。
自分勝手な理由で人を殺す人間のもつ幼児性の表現が、これまたうまーい。

「メメント」とても好きな映画なのですが、実は正直に言うとストーリー自体は時間軸に沿って観た場合、人が生きる上での心の拠りどころという内包はあったものの、あまりひねりのない話じゃないのか、と思ってました。
だからあのトリックをなくして映画を撮ったら実際のとこどうなのよ、クリストファー・ノーラン、って感じでしたが、
いやー「メメント」以上の出来です。
とにかく話しがよく練られています。細部まで丁寧につくられております。
前半のアル・パチーノの台詞が後半の出来事に対してほとんどが伏線になっています。無駄な台詞がありません。
「インソムニア」(不眠)というキーワードがうまく生きてます。また、睡魔の表現が秀逸。
こっちの頭までくらくらしてきます。一分、いや一秒でもいいからアル・パチーノ眠らせてやってー。
アラスカの自然の冷たくてピンと張り詰めた感じとアル・パチーノの不眠のせいで茫洋と脳がほてった感じが、いい対比になって画面に緊張感を与えております。


今作品で決定〜。「クリストファー・ノーラン。あなたについてゆくわ〜」


今日のデブ
事件のおこるアラスカ署の署長チャールズ・ニューバックに
ポール・ドゥーリー。サスペンダーとズボンの上に乗った下っ腹がイカしてます。
現場検証で死体役をやったり、容疑者宅に踏み込みに行ったりのアラスカ署署員、フランシスに
ジェイ・ブラゾー

 

++++++++++++++++++++

 

 

アバウト・ア・ボーイ


冒頭のヒュー・グラントとニコラス・ホルト演じるところの登場人物の紹介シーン。
軽快な音楽にあわせてテンポよく二人の人となりを伝えてくれます。
もうこれだけで、この映画がどれだけ面白いかということがびしばし伝わり心はわくわく。
                             


ヒュー・グラント演じるところのウィルは親の遺産で暮らしている38にして一度も定職についたことのない、どうしようもない男。
恋人とは2ヶ月以上もったことがないし、自分のことしか頭にない。
見栄えはよくて物腰もやわらかいのでとりあえずは女たちも関心を抱いてはくれるが話をしているうちに彼の中身が空っぽだということはすぐにわかってしまう。

けれども彼にもいいところはあるわけで、いつまでも大人になれないぶん子供に近い場所にいるってこと。だからマーカスもそれを敏感に嗅ぎ取って彼に近づいてゆく。
マーカスは情緒不安定な母親と二人暮らし。いつまた母親が自殺をするかびくびくしている上に学校でもいじめられている。
その窮状をわかってくれるのは本当の大人でなく(ヒュー・グラントが望もうと望まなかろうと)大人になりきれない彼なのだ。

この映画はそんな二人の成長物語。
お互いがお互いにかかわることによっていろいろなことを学びとってゆく。
そういう話だと全体に説教がましいムードがながれがちなんだけど。この映画はそういうところが全くないのがすばらしい〜。
ずっとそこはかとないユーモアが根底に流れていて、こちらはいつでも笑いの準備が出来ている状態。そこにちょっと刺激を加えられたその時のおかしさといったら。いくら笑いをこらえても笑いがこみ上げてきてしょうがないって感じでそれがまた心地よろしいんですわ。

ヒュー・グラントあまり好きではないのですが、
(「おいしい生活」とかあのへんの役は好きですが)
この映画での彼はやっぱイイ!と言わざるをえないっす。
特にラスト近くの舞台に上がるシーン。
他者を自分だけの島に受け入れた瞬間、今まで自分以外の誰かを心から心配したことのない彼が他人を心配する。しかしそんな自分に戸惑っている。でも今までの自分を捨てきるのもどうか?といったいろいろな感情が入り混じった、でもこれでいいのだといった納得しながらも憮然、かつ、やけっぱちの表情(長っ)は一見の価値がありです。
ヒュー・グラントこれで何か賞とるんじゃないかと踏んでおりますがどうでしょう。

    ▼

わたくし「ハイフィデリティ」ですっかりニック・ホーンビィにヤラれておりまして、この映画もクビをながーーくして待っていたわけですが、期待をはるかに上回るものでした。
それにしても自作小説が2本ともこういう原作のテーストを生かしきった作品に仕上がるなんてニック・ホーンビィ、ツイてるなあ〜。
だいたいはおいおい、なんだか勝手な監督の解釈が入ってテーマまでも変わってしまってるんですけど的原作が多いんですけど。ほんとラッキー。
あと日本語訳されてる作品では
新潮文庫の「ぼくのプレミアライフ」(原題Fever Pich)があるのですが、
なんと!コリン・ファレル主演で映画になっているではありませんか。
でも日本版のリリースは残念ながらないみたい。
日本版が出るのを天に祈ります。南無南無。

小説のほうの新作は「How to be Good」。
これまでの3作とちがって主人公は女性。開業医で題名のとおり「Good」いい人になろうとこころがけているが、ひょんなことから浮気をしてしまって、ってな感じの話らしいです。
うーむ。楽しみ。

今日のデブ
ヒュー・グラントに子供の名づけ親を頼む妹の旦那役、Nicholas Hutchison。画像はみつけられせんでしたが、他に「102」のレポーター役として出演しているようです。
その他、シングルマザーの会「SPAT」の会員女性には大勢のデブがおりましたが、調べてみたところほとんどが映画出演はこの「アバウトアボーイ」が初めてのようで有名な人はいないようです。
あとは
トニー・コレットかな。顔はそうでもないですがけっこう体型はどすこいしてました。

 

++++++++++++++++++

 

 

トータル・フィアーズ

いやあ、知らなんだ。
戦争は文明を発達させるというが、
今や核兵器はこれほどの性能を身につけておったとは
なんと!もう核兵器は人種を見分ける力を持っておりますのじゃ。
人種によってその殺傷能力を発揮したり発揮しなかったり出来ますのじゃ。
この映画に登場する核兵器はアメリカ製。
アメリカ人にはとても優しくできておりますのじゃ。(←あんた誰やねん)
                          

                                   ▼

というのもこの核兵器、
ただ砂漠からそれを掘り出して武器商人に売りさばいただけのパレスチナ遊牧民には
その売り先をCIAが問いただしに行ったころには被爆のせいで余命イクバクもなし、の殺傷力を発揮。
にもかかわらず、アメリカ人に対しては、
爆心地のスタジアムから半径3キロ以内の病院でなんの防護もなしで一日被爆者を診ていた女医にも、爆風で車が横倒しになるくらいの場所にいたベン・アフレックにもなーんの危害も加えないジェントルマンぶり。
またこの二人、後日、すっかり平和を取り戻したアメリカでホワイトハウスの芝生の上にシートなんて広げてピクニック。シャンパングラスで乾杯なんかしたりしておりますが。こら!あんたら!
ふつうそれだけの放射能を浴びとりゃあ、
その時点じゃ、もう血液中の白血球が異常に増殖して、髪の毛は抜け落ち歯茎は晴れ上がりで、体中の粘膜から出血だらけ、目もあてられない状態になっとるつうの。

この映画観た日本人ならほとんどそう言うであろう言葉をわたしも言わせておくれ。
「あんたら原爆ナメすぎ」
アメリカ映画関係者!こういう映画作る前に「はだしのゲン」読め。
そして「爆心地の風上にいれば放射能は大丈夫」とかそういう台詞を登場人物に言わさないでくれ〜。それも一般市民でなく兵器に詳しいはずの政府側の人間に。

まあでもそんなことは些細なことです。
アメリカの核に対する認識の甘さは今に始まったことじゃないし。
それよりなにより一番気になったのがこの映画の中での人の命に対する扱いについて。

いや-、いくら異星人に地球を襲来されて人がたくさん死んでも、大津波が街を呑みこんでも、大陸が沈没して人類滅亡の危機に瀕しても、そういう映画なら別に全然かまわないです、あたしゃ、ええ。
でも、リアルを謳ったこの映画で人を記号のように殺してしまうのは人道上、道徳上、問題があると思うし、人として持っている倫理という部分がこの映画の人の命に対する扱いにどうにも割り切れないキブンの悪さを感じてしょうがないです。
今まで映画の中で大勢人が死ぬのをみてきたけど、ここまでの気持ちは初めて。
うまく説明できないけど、とうとう映画も今までぎりぎりのところで踏みとどまっていた一線を越えてしまった、と思いました。

この映画、エンターテイメントとしてかなり面白く出来てしまってるしレベルが高いところがまた罪だと思います」。
CIAアナリストの仕事というのがなるほどーこういう仕事もあるのかーと興味をもたせるし、それぞれの思惑がストーリーとうまくからんでる。また脇を固めるアメリカ側政府高官が芸達者ばかりなのでカウントダウンまでが手に汗握るつくりになってます。


でも面白ければなにをやってもいいというのは間違ってるぞー。

これをきっかけに「平和の尊さをうったえるため」とかいってこういう映画がこの後たくさん出て来るんだろうな〜。
あ〜あ。

今日のデブ
今回はデブよりなにより
ベン・アフレック、
顔デカ!っ。
いやー彼の顔がデカいなんて今更な感想ですが、今回は迫力のデカさ。。やっぱシネコン内で一番大きいスクリーンの上映だったせいかしらん。

そして今回は今日でなく明日のデブ。
汚れ仕事を引き受けている(前作ではウイレム・デフォーがやっていた)CIA工作員ジョン・クラーク役の
リーブシュレーバー
まだ、デブというほどではないですが、かならずや期待にこたえるデブとなってくれるでしょう。

 

 

TOP