黒人のギャングたちがやる拳銃を90度横に向けて撃つあのやり方、いつの間にかあっという間に映画でたびたび登場するようになったけどいったいいつごろから出てきたんだろう。ずっと気になっていたので調べてみた。
ギャングスタスタイルともSide grip ,Side Waysなどいろいろな呼び方があるみたい。(以下Side gripと呼びます)
ソプラノズでもトラック強盗のシーンでこんな感じで登場します(1999)。
なんとなくイメージとしては1990年代頃のギャングスタ・ラップなんかの台頭と共に見始めたような気がしてたんですけど、実際映画では少なくとも1960年代にはすでに登場。
ここでは拳銃と役者の顔がカメラの中にきっちりに収まるというのが使用理由。
『片目のジャック』(1961)
続夕陽のガンマン(1966)
この後「リーサルウエポン」1987で一般にもSidegripという撃ち方の認識が広がったともいわれている。
しかしやはりこのSide gripをいっきにポピュラーにしたのは1993年の荒廃した街に暮らす黒人少年たちを描いた『ポケットいっぱいの涙』(原題Menace II Society)で少年の韓国系アメリカ人への酒屋での残虐な暴力が描かれた冒頭のこの↓シーンから。
監督のヒューズ兄弟は1987年実際に起こったデトロイトでの強盗事件で犯人がこのスタイルで拳銃を使っているのを見て、だらしなくいらいらしていて腹をすぐ立てる人物を表すのにリアルなジェスチャーということで映画に採用。
ヒューズ兄弟によるとなぜ彼らはこういうthrow bullets な撃ち方をするのかというと彼らの環境からシューティングレンジに行ってきちんとした撃ち方を習うことがないからではないかと推測している。
この銃を90度横に傾けるスタイルはすぐに他のフィルムメーカーたちに取り入れられあっという間にハリウッド映画にこのスタイルが広まった。そしてこれはヒューズ兄弟の当初の意図とは変わり「不遜でクールそしてパワフル」というひとつの表現として確立。
90年代にはユージュアルサスペクツ1995、コピーキャット1995、デスペラート1995 セブン1995等を筆頭に 数々の映画で使用された。
(「ポケットいっぱいの涙」が1993)
こんな感じで広まったSide gripですが普通の打ち方と違って命中率はどうなのか気になりますよね、やっぱりおおむねの意見として理論上では早く狙えるが実際はそうでなく実践での命中率は下がるということらしいです。
「怪しい伝説」でも検証してましたがやっぱ命中率悪いですねー
https://youtu.be/HOocXYhUfl8
ちょっとこの「怪しい伝説は」全編なくて途中抜粋でわかりづらいので別の検証動画をgifにしてキャプってみました。ノーマルの構えとSide grip どちらも6発、向かって右の標的に同じ時間内で撃ちます。
撃っているのは伝説と言われてるシュータージェリー・ミチュレック
まずノーマルな撃ち方から、的の一点に集中して当たってます
そしてSide grip、的に命中するもののバラけて正確性が低くなっています
Side grip、ざっとこんな感じですが、登場からおおよそ20年、今はもういろんなとこで茶化されたりパロディになったりで、クールという感じの使われ方は少なくなってるような?そして当初のヒューズ兄弟のほうの意図に近づいた形になってきてる気がしますけどどうでしょう~。
(内容はWiki(英語) NYTimesなどの記事を参考にしています。)